あのねTime’s

今日はこんな事ありました 。。。

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けんちゃんのこおろぎ

 けんちゃんは、夏に虫網と虫かごを買ってもらいました。
近くの野原で、バッタや蝶を追いかけて遊ぶのが大好きです。
でも、本当は、
「カブトムシやクワガタが捕まえたいなぁ」
と思っていました。
 野原にカブトムシやクワガタも飛んできてくれないまま、夏が終わりました。もうすぐ秋がやってきます。

 チロチロチロ・・チロチロ・・
「なんの音だろう?」
けんちゃんは、お部屋の中を見回しました。そして、足元に一匹の虫を見つけました。
「こおろぎだ。ちいさいなぁ。」
けんちゃんは手でそーっとこおろぎを捕まえて、虫かごに入れました。
 チロチロ・・チロチロ・・
けんちゃんは、どこからともなくお部屋に入ってきたこおろぎがかわいくなりました。その日は寝る時も虫かごを側に置いて鳴き声をききました。
 次の日の朝。けんちゃんは保育園に行くのに、虫かごを離しません。
「こおろぎといっしょに保育園に行く!」
ママと、夜にはこおろぎを逃がしてあげる約束をして、いっしょに保育園に行く事になりました。でも、本当はずっといっしょにいたい思っていました。

すみれぐみのお部屋にはもう、おともだちがいっぱい来ていました。
「けんちゃん、なに持って来たの、見せてー。」
虫かごを持ったけんちゃんに気付いて、ブロックで遊んでいた子も、おままごとしていた子もみんな寄ってきました。
「なんだぁ。カブトやないやん。」
「見えない、こっちに貸して!」
「ちっちゃいこおろぎが入ってるよ!」
みんなで虫かごの取りあいこになってしまいました。
けんちゃんが「返して」と言っても、その声はみんなには聞こえません。

いつの間にか虫かごのふたが開いて、中にいたこおろぎが逃げて、すみれぐみのお部屋の中を、ピョンピョン飛び回っています。
「せんせい、こおろぎつかまえてー」
「まてー、チビのくせに!」
「ぼくのこおろぎだよー!」
けんちゃんも一生懸命こおろぎを追いかけました。でも、捕まえられません。
「にげるなー、やっつけてやる!」
と、誰かが紙で出来た剣を振り回しました。その剣が当たって泣いている子もいます。ちいさなこおろぎ一匹のせいで、大騒ぎになってしまいました。

けんちゃんは、心の中で「こおろぎ、消えろ!」と、祈りました。
すると、本当にすみれぐみのお部屋からこおろぎはいなくなってしまいました。残ったのはからっぽの虫かごだけでした。

その日の夜、けんちゃんはこおろぎの事を思い出して涙が出ました。
別れたくなかったけど、逃がすのが約束でした。
そして、その時にちゃんとさよならが言いたかったのです。

コロコロコロ・・チロチロ・・
お家の外の野原で、普通のこおろぎの鳴き声に混じって、あのちいさいこおろぎの鳴き声が聞こえたようでした。
もしかしたら、ちいさいこおろぎのパパとママに会えたのかなぁと、けんちゃんは思いました。
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